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暁の契りと桃色の在り処 ー香ー

第10章 愛される姫君


(あさひ目線)

『じゃあ、女中呼んでくるから支度しなよ。

…、宴。信長様やみんなもそうだけど、あいつらもあんたを構いたがってたから覚悟しておいた方がいいよ。』

「え、あ、うん。…わかった。」

そうして直ぐに、いつもついてくれている女中さんが二人きて、軽く体を拭いてから小袖着替えた。
紅を引いて、髪を結った。

『あまり、派手すぎないように致しましょう。』

「うん。打ち掛け、重たいから可愛い小袖にして良かった。」

『お疲れなら、あまりご無理は…』

「うん、大丈夫。わかってる。

…いつもありがとう。心配かけて、ごめんね。」

二人の女中の手を握って、お礼を言ったら、二人は涙を流してしまった。
泣かせるつもりはなかったのに、と思いながら、二人を優しく抱き締めたら、私も涙が出た。

女中さんに、もう一度家康を呼んでもらった。
さっきより、顔が赤らんでたけど直ぐに来てくれた。

『何?』

「宴に行く前に、私を守ってくれた家臣の二人に会いたいの。…無事だよね?」

『あぁ、別の部屋で寝てる。』

「良かった。連れていって。」

『…はぁ。長居しないでよね。信長様も謙信や信玄も、みんな待ってる。』

「うん。わかってる。」

まったく、あんたは。
…って面倒くさそうだったけど、家康はゆっくりとした足取りで、二人が休んでいる部屋に案内してくれた。

「二人とも!」

『姫様! ご無事で、何よりです!』

「起きちゃ駄目!寝てて。 家康、怪我は?」

『肩とふくらはぎの弾は抜けてたし、町人達の手当てが良かったから、重症ではないかな。
まぁ、あまり動けないけど。』

「町の人達が…」

『俺たちを呼んでくれたのも、町人。
あんた、好かれてるから。』

「あっ、撃たれた町の人は?」

『医者に手当てして貰って、家にいる。大丈夫。
落ち着いたら、俺も行くから、一緒に…』

「行く!」

『だよね。』

『姫様、私達が付いていながら… 申し訳ありません。』

「いえ、ありがとうございます。
二人がいなければ、もっと危なかったでしょう。

みんな無事で… 良かった。」

また、涙が流れた。

『泣き虫。』

『姫様、有り難き、勿体ないお言葉。』

「動けるようになったら、またお団子食べに行きましょうね。」

『そんな、勿体ない…』










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