第10章 愛される姫君
『ふっ、さすがよ。』
『さすが左腕、だなぁ?秀吉。』
『光秀…』
『俺も早く戻るわ!料理作らなきゃな!』
『また、政宗公の料理が食べられるのか!』
『佐助、嬉しそうだな。』
『幸、勿論だよ!大興奮さ!』
『へぇ。まぁ旨かったけどな。』
『また、安土の酒が飲める。』
『伊達政宗! 甘味も頼む。』
『ちょ!信玄様!どさくさに紛れて!』
『あさひの好物だからな。食ってけ。』
『さぁ、戻るぞ!』
『はっ。』
あさひを抱き抱えた信長は、ふわりと馬に乗る。
その後に、秀吉と家康が。
謙信、信玄、幸村も同じく。
先に行った光秀と政宗を追いかけるように、安土城へかけていった。
※※※※※
(あさひ目線)
眼を覚ますと、見慣れた自室の天井だった。
あれ? どうしたっけ?
信長様やみんなが来てくれて、
謙信様や信玄様がいて、
家康が抱き止めてくれて…
危ないから見ないようにってなって。
え?
その後… 寝た?
私、寝た?
やばっ。やばいかも。
ガバッと褥から起き上がると、鈍い首の痛みと軽い頭痛がした。
『痛っ!』
襖が静かに開いた。
『目、覚めた?』
『あ、家康。…なんか顔赤いね。』
『宴だからね。』
『う、宴?』
『謙信や信玄が来てる。』
『えっ!みんなが?』
『だって、あんたの後ろ楯でしょ?』
『あっ、なんか言ってたね。』
『言ってたね、じゃないから。
大変なことだから!
まぁ、これで友好協定は確固たるものになるし、手を出す輩はいないだろうけど。』
「はぁ、…。」
『何?』
「荷が、重い。」
『はぁ。信長様の正室になる人が何言ってるのさ。
覚悟、してるんじゃないの?』
「一緒に生きて、一緒に背負う覚悟はあるけど…
命を狙われたり、謙信様達が後ろ楯とかは、びっくりで。」
『はぁ。強いんだか弱いんだか…』
「ごめん。」
『…ところで、体調は?
帰ってきて診察もしたけど、怪我は無かった。首は強く叩かれたから痛むんだろうけど。』
『うん、大丈夫かな。目眩も治まったし。』
『脈も落ち着いてるね。大丈夫そうだ。
みんな待ってるけど…、どうする?
行く?』
「宴…、せっかくだしね。謙信様や信玄様、幸と佐助君にも会いたいし。」