第9章 秘密の合図
(頭と首が痛い。
なんだろう、なんだっけ?
ああ、お餅食べてたら襲われて、みんなが撃たれて…
!!
大変。私…)
『起きたか。』
「私を…どう、するつもり?」
『さぁな。信長様の側に行けないようにして…売るか殺すか。』
「みんな、私を探しに来るわ!
謀反になるのよ?
貴方の家族は?
家臣たちの家族は?
どうなってもいいの?」
『謀反か。…友好協定などと阿呆な事を抜かすならと謀反の算段をしていた矢先だ。
遅かれ早かれそうなった。
覚悟の上だ。』
「…貴方のせいで、周りの家族達は不幸になるのね。」
『…黙れ。貴様、死にたいか。』
大名は、刀を抜き切っ先をあさひに向け振り上げた。
あさひはぎゅっと眼を瞑る。
(信長様!)
その時。
『お知らせ致します!
大変でございます。囲まれました!』
『何?』
『その小さな窓からご覧ください。
松明の光は、織田軍全武将の兵。
入り口前には、信長様他、安土武将勢が一同に!
しかも…
何故か上杉武田までおります。
小屋後方は、上杉武田の騎馬隊に囲まれました!』
『なぜ、上杉武田がいる?』
「謙信様、信玄様!幸!」
『兵の数は、戦さながら…およそ千五百。
我らは10…
圧倒的に不利でございます!
これでは、本当に謀反でございますよ!』
『わからぬのか、もはや、謀反なのだ!!
くそぉ! 貴様!立て!』
「いたっ!何するの?」
『貴様を人質に逃げる。』
「えっ、?
家臣は? 貴方について来た人は?
置いていくの?」
『煩い!こっちに来い!』
大名はほぼ錯乱状態で、家臣に止められようとするならば刀を振り回した。
今まで味方であっただろう家臣達が、刀傷にうずくまる。
「ちょっと… !!」
あさひが、そう言う瞬間に、喉元に冷たいものが触れた。
そして、小屋の戸を大名は蹴りあげた。
吹き抜ける風に、あさひは眼をを瞑る。
ゆっくり開けると、喉元には真剣が当てられていた。
視線を挙げると、身震いがする光景に息を飲んだ。