第9章 秘密の合図
『…、…佐助、これはわかるか?』
信長は、佐助にOKの仕草を見せた。
一同がその見慣れない仕草を見つめる。
『わ、わかります! 何故、それを?』
『あさひに聞いた、大丈夫の仕草だと。』
『これを三回やる。四回目にかんしゃく玉を仕掛けろ。出来るか?』
『勿論。』
『よいか、謙信。』
『ああ。』
『よし…』
信長は、すぅっと息を吸い込んだ。
『織田軍!』
『はっ。』
『あやつらは、味方にあらず。謀反を企てた賊である。我が許嫁を拐うなど言語道断。
全力でねじ伏せる。そして、今後このような謀反、友好協定を揺るがすような謀反が無いよう釘を刺す!
よいな!』
『はっ。』
『光秀、貴様は念のため大名を狙える場所に単騎で迎え。』
『はっ。』
『秀吉、政宗、家康、三成は俺と共に前へ。各将の兵を小屋を囲むように配置せよ。』
『御意!』
風のような早さで、武将達は配置につき始める。
『さぁて、俺たちもいこう。織田軍と共に小屋を囲むぞ?』
『信玄、幸村は、俺と共に。』
『あぁ、わかってる。無茶しないように見張ってるさ。』
『ふっ。』
信長と謙信は一瞬視線を合わせ、すぐに天幕をでた。
夜のひんやりとした風が、配置の終わった兵と武将達を包む。
(あさひさん、一人にこの規模!
戦国武将勢揃いって、このレアな状況!
ヤバイ!もうにやけてしまう…)
佐助は、違う意味で興奮していた。
一瞬の間の後、一斉に松明に火が灯る。
それは、山火事のように赤々として、小屋を取り囲んだ。
信長と謙信が前に出る。
一歩下がった場所に、織田軍武将たちと、信玄、幸村が並んだ。