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暁の契りと桃色の在り処 ー香ー

第9章 秘密の合図


『あの小屋です。』

信長と秀吉、佐助は、軍をまとめる支度を政宗と光秀、三成に任せて、先に敵地一歩手前まで来ていた。

『俺は仲間から情報を聞いてきます。』

『あぁ。すぐに政宗達も来るだろう。』

びりびりとした、殺気を纏う鬼気迫る信長を、秀吉は横目でちらりと見た。

(こんな御館様、久しぶりだ。あさひに何かあったら…)

秀吉の額から汗が流れた。

『秀吉。』

『はっ。』

『これから、何があっても… 俺が出る。
貴様は援護に回れ。

あさひは、俺が助ける。』

『…承知。』


※※※※※


『お待たせ致しました。』

『佐助。どうだった?』

既に小屋から目立たず離れた場所に、簡単な天幕が張られ、外には各将の兵が身を寄せる。
大名を討伐し姫を救う、とはいえ、この兵は戦並みだと佐助は感じた。
信長の怒りを買った大名に、少しだけ同情してしまう。

『佐助!』

政宗が、佐助の肩をつかむ。

『あ、すいません。規模のでかさと皆さんが集まるのを見て、感極まりました。
写真撮りたいくらいです。』

『は? あんた、ふざけてんの?』

『あさひは、どうなんだ?』

各々が、佐助に詰め寄る。

『佐助!』

光秀が、信長の隣で叫んだ。

『報告をお願いします。 佐助殿。』

三成が厳しい表情で、視線を向けた。

『はっ。
まず、あさひさんは無事です。』

ふぅ、と何処からともなく誰かが息を吐いた。

『敵は、大名を合わせ、10人。大名と家臣二人は銃を持っています。
まだこちらの姿に気付いてはいませんが、時間の問題かと。』

『…して、上杉は?』

武将達と佐助が、ぱっと信長を見た。

『…もうまもなく到着予定かと。』

『なっ!』

『どんだけ早いの? 越後だよね?』

『不穏な動きを知り、近くまで来ていたようです。』

『皆、上杉を待って策を確認し出陣致す。』

『はっ。』

『三成、佐助と共に策を練ろ。』

『御意。』

『はっ。』



※※※※※


それから数刻も経たずに、蹄の音が響き始めた。

『来たか。』

信長が音の先を見つめた。
上杉謙信、武田信玄、真田幸村の姿が見え、その後ろには織田軍と同じ程の騎馬隊が見えた。

『戦かよ…』

『あさひに何かあったら、安土…戦場だぞ?』







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