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暁の契りと桃色の在り処 ー香ー

第8章 姫の軒猿


『なんだ?この音?』

茶屋の店主や、町人達がぞろぞろと出てきた。

『なっ! 姫様!』

『おい!武将様を呼んでこい!』

『うるせぇ、黙れ!』

パン!パン!

『ぎゃあ!』

「やめてぇ!」

町人の一人が腕を撃たれうずくまっている。

「やめて! 目的は、私でしょう? 他を傷付けないで!」

『ひ、姫様!』

「町の人も見てたし、騒いでる。
秀吉さんか、家康か、政宗が来てくれる。
命を無駄にしない。わかった?」

『姫の真似事の癖に、度胸だけは褒めてやろう。』

ガツッ!

突然あさひの首に痛みが走る。
目の前が歪み、二人の家臣の叫び声が微かに聞こえた。





『くそっ!』

小さな呟きが茂みの裏から聞こえ消えていった。



※※※※※



『お前たち!』

町人に案内され、必死な形相で駆け寄る秀吉と政宗、家康。
肩とふくらはぎを撃たれ、呼吸が乱れた家臣達は茶屋の中で簡単な手当てを町人に受けていた。

『どういうことだ? なにがあった?』

『大名が… 現れて、』

『姫様を…』

絶え絶えに一部始終を話し、あさひが担がれて拐われた事を話す。

『姫様…』

涙を流し家臣は話した。

『命を、もって、護衛するはずが…
命を無駄にしない。と、言われ…ました。』

『秀吉様…、姫様を…』

『わかってる! 当たり前だ!』

『お前たち、奴の目的を聞いたのか?』

『政宗、様… はい。信長様を元に戻す為には、姫様が邪魔だと…』

『もう、喋るな! 治療が先です、秀吉さん。』

『目的は、あさひだ。』

『あぁ。政宗、そうだな。家康、二人を頼む。


信長様も、光秀も動いてる! 俺たちも追うぞ!
おい!誰か、奴らの行き先見てないか?』

秀吉が町人に向かって叫んだ。








『案内します。』

三人が声の主を探しながら、振り返る。

『お前は…』

『なんでいるんだ?  



     …佐助。』
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