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暁の契りと桃色の在り処 ー香ー

第7章 分かち合う仕草


『もう、信長様! 
皆さんの前であんなことして良かったんですか?』

天守に戻ると、あさひが顔を赤くして信長に向かって話していた。

『貴様とて喜んでいたであろう?』

『だって、あの時は…』

『あの時は?』

『幸せ、でしたから…。』

『ふん、ならば良いではないか。』

『でも!信長様は、信長様なんだから!』

『なんだそれは? 
秀吉に小言を言われるなら、貴様もだぞ?』

『えぇ!?』

『さあ、あさひ。来い。』

信長は、夜着に着替え褥の上に胡座をかいている。

『もう、困ったちんなんだから。』

あさひは、微笑みながら夜着に着替えると信長の隣に座った。

『貴様の場所はここだ。』

ふわりと抱き抱えられると、胡座をの中に閉じ込められた。

『誰にも触れさせん。先程の宴の場での貴様への視線も全て斬って捨ててやりたかったわ。』

『あれはすごかったですね…。私も居なくなりたかったです。』

『あいつらも酷かったな。』

くくっと信長は、呆気に取られた武将たちの顔を思いだし笑い始めた。

『秀吉さん、固まってましたね。三成くんも鼻血出してて家康や政宗とわちゃわちゃしてたし。』

ふふっと、あさひも笑ってしまっていた。

『信長様がみんなに視線を送れば、私もちらっと見て。笑いそうになるのを堪えて…
アイコンタクト、でしたもんね。』

『あい?…こ?』

『アイコンタクト、うーん。視線で語る、思いを分かち合うこと?ですかね。

あと、同じ様なものなら… 仕草で思いを分かち合うジェスチャーって言葉もあります。』

『ほう。仕草か?』

『例えば… いいよ、とか大丈夫、了解とかは、まとめてこんな感じの仕草です。』

そう言うと、あさひは親指と人差し指をくっつけたOKの仕草をした。

『逆に、嫌、とかあっち行けとかはこれですね。』

そう言うと、次は手首を返し払うような仕草をした。

『それなら、俺もやる時がある。』

『ふふっ。えぇ、見たことあります。秀吉さんの小言から逃れる時とか。』

『そうかもしれぬ。…では、あさひ。よいか?』

信長はあさひにOKの仕草をした。



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