第1章 戦いの後
「栗花落カナヲ!竈門炭治郎!我妻善逸!觜平伊之助!いずれも意識ありません!!」
その声に反射的に身体が動いた。
「皆さんッ!こんなになるまで、、、ッ?早く、早くこちらへ!!」
その姿に溢れそうになる涙を必死に堪えて、それぞれを治療部屋へ誘導した。
最後に運び込まれた伊之助さんを誘導している時、伊之助さんの意識が戻っていることに気がついた。
「伊之助さん、、、!?」
「ア、、、イ」
声にならない痛々しい声。
そんな声を出すくらいなら、少しでも体力を温存してほしいと思った。
「何ですかッ!?とにかくじっとしていて下さい!!あッ!その方はこちらへ!!」
それなのに。
彼はその大きな手を私に伸ばして頬に触れ、こう言った。
「、、、ただいま」
どこまでかしこも傷だらけで、腕を伸ばせるような身体じゃないのに、、、。
それでも安心したように微笑んだ彼の目から涙が流れる。
刀でできた豆で固くて逞しい手が優しく頬を撫でた。
なんて温かいんだろう。
その温かさに一人でに涙が溢れた。
これまで冷たい手ばかり握ってきた。
たくさんの人が帰ってこなかった。
父さん、母さん、カナエ様、、、ずっと、待っていたのに。
そして今度はしのぶ様までも私を置いて行ってしまった。
不安で押しつぶされそうだった心に光が差したみたいだった。
私は伊之助さんの手をギュッと握った。
必ず助けてみせる。
もう誰も失いたくない。
「おかえりなさい。今はゆっくり休んで、そしてきっとまた起きてください。約束ですよ」
頬に触れる手を取って、小指と小指を結んだ。
「私が必ず守ります」
彼は満足そうに目を閉じた。