第2章 帰郷
「あ、ああ、あのっ、あののの、アオイさんッ!!」
トントンと野菜をリズムよく包丁で切るアオイさんの背中に向かって声をかける。
「、、、その声は、、、善逸さん?」
包丁を片手にアオイさんが振り返る。
「まだ動いてはいけないと何度言えば、、、!!」
「だ、だって、その!!俺、アオイさんにどうしても言いたいことがっ!!」
「善逸くん?まだ動いちゃダメだって、、、」
可愛い可愛い禰󠄀豆子ちゃんが奥からヒョコっと顔を出す。
「禰󠄀豆子ちゃん!?」
な、ななな何で今ここにいるんですかぁ!?
う、嬉しいけども!割烹着姿の禰󠄀豆子ちゃんも最の高だけども!!!
「おいっ!紋逸が消えたぞ!!!って、、、」
「い、伊之助!?何でお前まで、、、!!」
廊下をキュッと止まった伊之助が台所を覗き込む。
「ッ!」
一瞬目を丸くしたアオイさんの顔から表情が消えた。
「、、、」
「あ、、、?」
「アオイさん?伊之助?一体どう、、、」
「ね、禰󠄀豆子ちゃん!今日のお昼は一体何ですかー?」
誤魔化そうとした俺の言葉は、ハイ!まぁ、そりゃもう!もちろんスルーですよねー、、、。
「善逸くん、これは一体、、、?」
「え、えっと、これはその、、、」
な、ななな、何で今このタイミングで対面しちゃうんだよぉ!
言うに言えないじゃーん!!
禰󠄀豆子ちゃんも困ってるじゃないかぁー!
流れる険悪な雰囲気に耐えられそうにないと思った時、アオイさんが溜息混じりに口を開いた。
「はぁ、、、。ちょうどいいです。禰󠄀豆子ちゃん、それからそこのお二人に話があります」
「えっ!!?話!?話って何!?どんな話!?」
皆揃ってるところで話すこと?
それって、それって一体、、、!?
もしかして伊之助との別れ話とか!?
「、、、何だよ?」
睨み合う伊之助とアオイさん。ピリピリとした空気に、俺は思わず禰󠄀豆子ちゃんの後ろに隠れた。
アオイさんが小さく深呼吸をして口を開く。
ゴクリ、、、。
「私、実家に帰らせていただきます」
、、、、!!
伊之助の話じゃない!!
「な、なーんだ、実家?そんなこと?ど、どーぞどーぞ、、どーぞお好きに、、、ってェ!!はぁぁぁあああ!!??」
目が飛び出した。