• テキストサイズ

【鬼滅の刃】夢の中で

第1章 戦いの後


「、、、。」


あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。


「ハッ!!アイツらは!?アイツら、どうなった!?」


権八郎と紋逸、他の人たちは!?
アイツらも酷い怪我で運ばれて、どうなってる!?


焦って辺りを見回すと紋逸だけは隣で眠っていた。
包帯だらけの痛々しい姿だったが寝息から察するに大事は無いようだった。
ひとまずホッと息を吐いたが、この部屋に権八郎の姿はない。
別の部屋にいるのか、、、?


「、、、クッソ、、、」


傷に響くのは分かっていたが、起き上がろうと腕に力を込めるとともに身体中に激痛が走って動けない。
悔しさのあまりベッドを叩いた。その時、手に何かが触れた。


「、、、なんだ?」


柔らかい、、、ガーゼか?
目をやるとピンク色の布切れ。
いや、花の刺繍が入っている、、、ハンカチか?
少なくとも自分のものではないハンカチが枕元に綺麗に畳まれて置かれていた。


「少し湿ってる?」


そういえば、涙が落ちていたはずの頬、枕は濡れていない。
まさか誰かがこのハンカチで拭いてくれたのか?


「、、、一体誰が?」



何となくニオイを嗅いでみるもただ良いニオイがするだけで、誰のものかは分からなかった。
権八郎なら分かるだろうか。



どっちにしろ見舞いか看病に来た誰かか?


「しのぶ、、、?」


一瞬、思ってすぐにかぶりを振る。


「無い」
呟いた途端、涙が落ちた。


アイツは死んだんだ。
それを知らされたときのカナヲの悲しげな表情が頭に浮かぶ。
死目にも会えなかった。



『ゆびきひげんまん。約束ですよ』



しのぶ、母かもしれないと思った女。
いや、母だったらいいのにと思っていた。
自分が泣いていたら、きっと母は笑って涙を拭いてくれたはずだ。
母の笑顔としのぶの笑顔が重なる。
しかし2人とも、もうここにはいない。
2人とも何も残さずに行ってしまった。


自分で勝手に思い出して、傷よりも奥深くの場所が痛んだ。


「くそ、、、ッ」


握り締めた拳を寝床にぶつけると、先程のハンカチに当たった。



「、、、。」



殴り甲斐の無いその柔らかな感触に苛立ちながらも、そのハンカチで涙をぬぐうと、少しだけ気持ちが落ち着いたような気がした。

/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp