第2章 帰郷
「行かないでっ!!」
手を伸ばした先は
天井、、、?
そこは自室だった。
窓からは昇り始めた太陽の光が微かに漏れていた。
そうか、私、夢を見てたんだ。
「お父さん、お母さん、、、」
そして、カナエ様。しのぶ様も。
「皆、もう居ないんだ」
追いかけても追いつくことはないのに。
もう夢の中ではないのに、胸は痛いまま。
懐かしさと後悔で押しつぶされそう。
あんな夢を見るなんて。
きっと、昨日、伊之助さんとあんなことがあったから。
「って、、、んん!?」
私は昨夜のことを思い出した。
そういえば私、伊之助さんと話して、大泣きをして。
「何てこと、、、」
彼の肩を貸してもらった!?
「っていうか!!」
大変だ、それからの事が全然思い出せない。
それなのに私は自室でいる。
「それって、それって、、、」
信じられない。いや、でも、それ以外考えられない。
「まさか伊之助さんにここまで運んでくれたってこと!?」
「そうだけど?」
「やっぱり!?あーもう、どうしよう」
「ア?どうしようって何が?」
「だって私、あのまま寝ちゃうなんて情け無いし、っていうか重かっただろうし、変な顔で寝てなかったかな!?それに部屋を見られるなんて、、、いえ、もうそもそも伊之助さんの前で泣いてしまうなんて、、、え?」
恥ずかしさで熱くなった頬を押さえながら、恐る恐る顔を上げる。
ベッドの横にいる猪と目が合った。