第2章 帰郷
「わー!アオイのおにぎりは美味しいわねぇ!」
「ホント!ビックリ!お米の粒がしっかりして、、、握り具合かしら?」
「あらー塩加減もちょうどいいわよ!あー、誰かさんの甘いおにぎりとは大違いだわー」
「なっ!姉さんたら、まだそれを言うの!?」
「ふふ、だって良い思い出だもん!ねー、アオイ?」
「アオイ!今度作り方を教えて!ね!」
美味しそうに私が作ったおにぎりを頬張る2人。
鼻をくすぐる温かく懐かしい空気。
鈴のような声で呼ばれる名前が耳に心地良い。
「はい、カナエ様。しのぶ様。」
「様、なんて付けないで!そうね、アオイは私達の妹みたいなものだから、姉さん、なんてどうかしら?」
「いいじゃない!そうしましょう!分かった?アオイ?」
「はい、カナエ様。しのぶ様、、、あ」
「あー!アオイったら早速ダメじゃない!」
「ふふ、少しずつ慣れていきましょうねー!約束っ」
「はい、、、」
その時は恥ずかしくて、くすぐったくて、うまく笑えなかったけれど。
差し出された小指は温かくて。
いつか、姉さんと呼べるようになるだろうか?
いつか2人のように私も優しくなれるだろうか?
私も強く、誰かを守れるようになれるだろうか?
2人を守れるようになれるだろうか?
その時は私も一緒に笑い合えるだろうか?
そんないつかを夢見て、結んだ。
それなのに。
「ハァ、、、ハァ、、、待って!」
突然、明るくいい匂いがした屋敷が真っ暗になった。
そして私は走っていた。
「カナエ様、、、ハァ、、、しのぶ様!待ってください!!」
このままでは置いていかれる。
前を行く2人の背中はどんどん遠ざかって。
どうして?
せっかく家族になれたと思ったのに。
「どうして私だけ置いていくんですか!!?」
手を伸ばしても届かない。
2人は笑顔で。遠ざかっていく。
「私が戦えないからですか!?私が弱いからですか!?」
いつだって守られるだけの私。
弱虫の私。
泣き虫の私。
そんな自分は大嫌いだ。
「姉さん!!姉さん!!お願い、もう置いていかないで!!」
そしてまた私だけ、、、