第2章 帰郷
「ぎゃー!!いつからそこに!?」
「ずっとだ」
「ずっと!?ずっとって、昨日からずっと!?」
「あー、もうウルセェな!ずっとっていったら、そうに決まってるだろ!?」
「な、なな、何もしてないでしょうね!?」
「当たり前だ!感謝しろよ!」
「、、、じゃあ、どうして?」
威張る伊之助さんを睨み付ける。
一体ここで何をしていたのか。
「、、、。言っただろ?もう1人で泣くんじゃねえぞって」
「、、、!」
少し考えた後に彼に似合わずモゴモゴと言ったその言葉にハッとして、目の端を指でなぞった。
微かに濡れている。
私、寝ながら泣いていたんだ。
「もしかして、それでずっと側にいてくれたんですか?」
「、、、フン!俺は親分だからな、親分には子分の面倒は見る義務があるからな!」
そう言って猪頭はそっぽを向いた。
「いつから私はあなたの子分に、、、って」
あれ?
枕が濡れていない。
もしかして伊之助さんが私の涙を拭ってくれていた?
「ったく、これだから、弱虫を子分に持つと親分は苦労するんだ」
その表情はやはり猪頭に隠れて分からない。