第1章 戦いの後
、、、だけどこれ以上は言えない。
夢の中でまで謝っているこの人の前で、これ以上は言ってはいけない。
私は伊之助さんの方に向き直って、笑ってみせた。
「ほら、馬鹿げた話でしたでしょう?子供じゃあるまいし、今さら、、、もう何日も経っているというのに私、、、」
ゴツン。
突然走った額の痛みに私は言葉を失った。
頭突きをされたのだ。
「痛い!もう、、、何するんですか!」
目の前に星が飛ぶ。
私は声を振り絞り、伊之助さんを睨んだ。
「何回も言わせるんじゃねェ!!ちゃんと全部言えっつっただろーが!笑ってごまかすな、この、ボケナス!!」
「ボケナス、、、!?」
売り言葉に買い言葉。
言い返そうと持ち上げた私の頭に何かが触れた。
ポン、、、
何?
伊之助さんの手だった。
「、、、俺は馬鹿げた話なんて思わねェ。子供だとも今さらだとも思わねェ。これでも、しのぶがお前らにとってどんな奴だったかは分かってるつもりだ」
あぁ、、、駄目だ。
そんな事を言ってはいけない。
あなたにこれ以上、辛い夢を見てほしくない。
それなのに
「、、、っ」
しのぶ様のように柔らかくはない。
温かいというよりも熱い手の温度に涙が溢れた。