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なんちゃって♡wonderland【ツイステ】

第4章 気まぐれエンカウンター!【フロイド裏夢】



『はぁ〜…』

夕焼け空を眺めながらは窓を拭く

こんな夕焼け空の日は、入学式の数日前の事を思い出す。



豊作村出身ののちにと名乗ることになるこの少女は、リンゴ農家を営む父と母そして双子の兄と4人で仲良く暮らしていたがその村では数週間前からとある流行病が人々の命を脅かしていた

父が最初に罹った数日後にそれを看病する母も倒れた
それから双子の兄妹は毎日両親の看病とリンゴ農家としての仕事に精を出していた

しかしその看病虚しく、父と母は発病から僅か1週間でこの世を去った。

「ごほっ…ごほ…」

『お兄ちゃん、大丈夫?』

「大丈夫だ、心配すんな!」

両親が亡くなってまもなく兄も流行病に感染した。

元々身体があまり丈夫で無い兄は、両親の看病を一手に背負い妹にリンゴ農家としての仕事を任せていた。

病人と接する時間が長かった兄が流行病に罹るのは必然だった。

それから数日後、兄はベットから出られなくなった。

「ごほっ…げほ…」

『お兄ちゃん…リンゴ粥持ってきたよ』

「はぁ…ありがとう。でも、あんま俺の近くにいると感染るから早くでてった方が良いぞ」

兄は妹を部屋から追い出そうとする

『うん…ねぇお兄ちゃん』

「何だ?」

『ううん、何でもない』

妹がそう言って出て行こうとしてドアノブに手をかけた時

「…げほ…ごほっ…っは…俺がナイトレイブンカレッジに入学するの明後日だから…身体心配してくれてんだろ?
俺はこんな流行病なんかには負けねぇから…余計な心配すんなよな!」

兄はいつになく頼りなく笑った。

『何で…私が言おうとした事分かったの?』

「俺はお前の双子の兄貴だからな」

兄のその言葉に妹は自分の心の中にあった思いをぶつける

『お兄ちゃん…ナイトレイブンカレッジ、行かないで…私頑張るからっ!ここで一緒に暮らそうよ…私を1人にしないでよぉ…!』

妹は兄のベッドに近づいて顔を埋めて泣きはじめた。

「ありがとう…でも大丈夫だ、お前は1人になったりしないから…っぐ、ごほっ…ごほ…!」

『お兄ちゃんっ…!』

「はぁ、はぁ…ほら、早く部屋を出ろ。感染るぞ」

『…うん』

妹は大人しく部屋を出た。

廊下の窓から見えるこの日の夕焼け空は、リンゴよりも赤く不吉なことが起こる前兆を感じさせるような不気味な色をしていた。
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