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なんちゃって♡wonderland【ツイステ】

第3章 求愛エモーショナルチェンジ!【ケイト甘夢】



こういうところが私の「教師っぽくない」ところなのだろうか。
一応教師なのに、生徒にこんなにからかわれっぱなしでいいのだろうか。

でも、これはこれで楽しいからいいのかもしれない。
厳しい教師ばかりでは、生徒も息が詰まってしまうだろうから。
はぁとため息を吐く。

と、視界の端にジャミルが目に入った。

珍しく一人か、と思えばやはり彼の視線の先にはカリムがいる。
良かった、と思うのもつかの間、カリムの表情は少し固く、ジャミルもカリムを真っ直ぐ見ようとはしない。

何かあったな、というのは教師としての勘だ。
カリムに元気がなかったのはこれが原因なのか。

元気のないカリムが気になってしまい目で追っていると、ケイトが隣からのぞき込んできた。

「誰見てんの?」

「え、あー...ううん、よそ見してただけ」

苦笑いして誤魔化すが、鋭いケイトは気づいてしまったかもしれない。

視界から、二人はいなくなっていた。

部活動に向かう途中、タイミングのいい事に目の前を歩いていたのはカリムだった。

やはり1人で歩いていて、その背中はどこか寂しそうだ。
前を向いて歩いているのが、大商人の子としてのプライドなのだろうか。

「カリム、ちょっといいかな」

でも、大切な生徒がこんな風になっているのは我慢できない。
力になれることならなりたいし、話を聞きたい。

人に話すことで少しは楽になれるかもしれない。

「え、あぁ…先生か」

やっぱり、どこかおかしい。

話をしていたのは1時間くらいだっただろうか。

想像もしていなかった内容で、私は慰めることしかできなかった。
長年連れ添っていた「友人」だと思っていた者の裏切りは精神的にくるものがあったのだろう。

沈黙が続くと、カリムはニパッと笑って立ち上がった。

「部活行こうぜ!みんなが待ってる」

「…そう、だね」

音楽室を開けると、鳴っていた楽器の音が止まった。

「ちゃんセンセ〜遅いよ!来ないかと思って寂しかった〜」

「昼も会ったでしょ」

1番に駆け寄ってくるのはケイトだ。
そして隣のカリムに目を向ける。そして、急に周囲の気温が下がった気がした。

「ちゃんセンセー…なんでカリムくんと一緒なの」

「ぐ、うぜん廊下で会っただけ」

うまく、誤魔化せただろうか。
嘘をつくのは正直苦手だ。
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