第1章 灼熱サンシャイン!【カリム・アルアジーム/切甘】
鞭を振りかざす奴隷商人の腕を何者かが掴んで止めた。
「やめろ」
は顔を上げてその声の主の顔を見ようとしたが逆光でよく見えなかった。
「大丈夫か?」
奴隷商人の腕を離して私の横にしゃがんで私を起き上がらせてくれた少年は浅黒い肌に白髪の髪、赤い瞳をしていた。
歳はとそう変わらない印象。
『ありがとう…ございます。ですが、私なんかを助けたら今度はあなたがっ…』
「えっと、水が欲しいんだったよな?ちょっと待ってろ!」
彼はその場でユニーク魔法を使って持参していた革袋の中に水を入れてに手渡した。
「はい、飲んでくれ」
は革袋を傾けて口をつける。
その水はが今まで飲んだことがないくらいの美味しい水、ぬる過ぎず冷た過ぎない丁度良い温度で身体の隅々にスッと通っていくような感覚を感じた。
『美味しいっ…!ありがとうございます。私こんなに美味しいお水…初めて飲みました!』
気づけばの頬に涙が伝っていてはそれに驚きつつも涙を拭う。
「そうかそうか!気に入ってもらえて俺も嬉しい!
そうだ、今から俺の家に来いよ!もっとうまいもん食わせてやるからさ!ジャミルの料理は世界一美味いんだ!きっとお前も元気になるぞ〜!」
「あ、いえ…それはできかねます。私のような卑しい身分の人間が貴方様のような高貴なお方となんて…」
悲しそうな顔するを見て彼は満面の笑みで笑いかけてくれた。
「良いってそんなん気にすんなよ!お前がうちに来てくれれば今日も宴ができる。みんなで楽しく美味しいもん食べる時間が俺は好きなんだ!」
の手を引いていこうとする彼を奴隷商人が止める。
「これはこれはアルアジーム殿!奴隷に興味がおありですかな?」
「奴隷には興味ねぇよ?俺はこの子に興味があるんだ!」
「ほほう…では、この娘をお買い上げになると?」
「買う?友達は売り買いするもんじゃねぇだろ?」
あれ?私いつからこの人の友達になったんだろ?
がそう思っているとの後ろから近づいてくる声が聞こえてきた。
「カリム!お前はまた目を離したすきに居なくなって…」