第1章 灼熱サンシャイン!【カリム・アルアジーム/切甘】
ジャミルがカリムを止めるとオクタヴィネルの3人の視線がジャミルに突き刺さり、ジャミルはそれ以上何も言えなくなった。
「「「………しょんぼり。」」」
3人のあざといしょんぼり攻撃にジャミルがついに折れた
「……分かった、1人3つまでだからな!」
ジャミルの言葉を聞いてジェイドとフロイドはジャミルに背を向けてこそこそ話をはじめた。
「ジャミルさんって思ったより所帯染みていますよね」
「あ、分かる〜なんかぁラッコちゃんと違って、ちょっとケチケチしたところあるよね」
「要らないなら良いんだぞ?」
「要らないとは言ってませんよ?さぁ宝物庫へ案内してください。」
アズールがそう言ってジャミルの背中を押す。
「おい、押すなって」
「何もらおっかな〜ジェイドは何貰うか決めてあるの〜?」
「えぇ、勿論。カリムさんに宝物庫を見せていただいた時にある程度目星はつけておきました。」
この時点でジャミルはもう嫌な予感がしていた。
宝物庫に着いたオクタヴィネルの3人は遠慮のかけらもなくすぐ様物色し始めた。
「おや、ジャミルさん。ここにあったはずのジュエルロイヤルチェスセットはどこへ行ったのでしょうか?」
ジェイドはすぐにお目当てのものが無いことに気づいてジャミルに質問してきた。
ジャミルの嫌な予感はすぐに的中した。
ジャミルはチッとバレないくらい小さく舌打ちをした
「え、あぁ…そんなものあったのか?」
とぼけてみたが、実はジャミルがオクタヴィネル対策に隠したものだった。
「それとその隣に置いてあったブラゲのマリーアントワネットの懐中時計もどこへ?」
「コイツ…この中でも特に高いものばかりっ…」
「何かおっしゃいましたか?ジャミルさん」
「……何でもない」
ジャミルはこの3人(特に入念に下調べしていたジェイド)によって宝物庫の中でも特に高価で希少な物を片っ端からかっさらわれた。
「オクタヴィネル…あいつら容赦ないな」
貰えるものを貰ってほくほくなオクタヴィネルを他所にジャミルは少し涙目になっていた。