第1章 灼熱サンシャイン!【カリム・アルアジーム/切甘】
「勿論です。カリム様が居なくなった後毎日この部屋の掃除をして待つ貴方を見るのは…正直心が痛いです。
荷物はもうまとめてあります。夕刻になったら僕の部屋へ来てください。荷物と髪を束ねるターバンをお貸しします。」
『せっかくのご提案ですが私は、一年前にカリム様にここで待ってると約束していますので…』
そう断ろうとするにジルは少しムッとした顔で強い言葉で反論する。
「あなたはもう奴隷じゃない!なのに、何が貴方をそんなに縛り付けるのですか?」
『縛り付けるだなんてっ…私はただカリム様との約束を守りたいだけでっ』
「もっと自分に正直に生きてくださいっ!
ここで待ちたい、それが本心だと言うのなら僕はこれ以上何も言いません!ですが、貴方の顔は…それを本心だと言ってない」
ジルの言葉にはハッとした。
の中に長年染み付いた奴隷根性を剥がすときは今なんだと確信した。
『…そうです、その通りですね。ありがとうございますジルさん!私ナイトレイブンカレッジの馬車に乗ります。』
「それでいいんです。ではまた夕刻に」
『はい』
ジルはカリムの部屋を出て行った。
は部屋の掃除を終え、他の仕事はうつる。
そして、夕刻。
はジルから荷物と着替えを受け取り、自室に戻って支度を済ませる。
ジルはに成り済ましてお見送りをする事になったためもジルに自分の着替えを渡す。
ジルとは背格好もとても似てる為成り済ますのも容易かった。
そして、ナイトレイブンカレッジの馬車が来た。
去年カリムを連れて行った馬車に今度はジルになりすましたが乗り込む。
ナイトレイブンカレッジは男子校。
が女だとバレたらどんな処分が下るか分からない
けれどはその処分よりも怖い事をもう知っている
カリムと会えない時間こそにとって何よりも怖いのだ。