第1章 灼熱サンシャイン!【カリム・アルアジーム/切甘】
膝から崩れ落ちるようにその場に力なく座り込んだ
カリム様を乗せた馬車が見えなくなると雨が降った、この降り方はスコールだ。
突然やってきてドッと大量に地上に雨が降り注ぐ。
の今の心情のようなその雨に合わせては子供のように大声で泣きじゃくる。
今まで生きてきた中で1番自分に優しくしてくれた命の恩人が自分の元から旅立った。
命の保証のない授業も行うエリート魔法学校ナイトレイブンカレッジへ…
大切な人だからこそそんなところに送り出すのが怖くないわけがない。
側にいられるのが当たり前だと思っていた拾われたばかりの浅はかな自分に嫌気が差す。
カリム様の成長に必要な事だから喜ばなきゃいけない、笑顔で送り出さなきゃいけないんだという思いと側にいたい、私も連れて行って欲しいと願う自分のエゴが合わさって心が混乱する。
なんて可愛げのない見送り方をしたんだろう…
結局カリム様を困らせた。
思うところはたくさんあるけど、私はとりあえずひとしきり泣いた。
自分の不甲斐なさ、カリム様に対する心配、ジャミルさんに対する嫉妬…挙げればキリがないくらいにいろんなものが入り混じっていた。
『わぁぁあ…カリム様…カリム様ぁあ…!行かないでっ…私を1人にしないでぇえっ…!!』
あぁ、貴方のいなくなったこのお屋敷は太陽のいないただの箱庭です。
私のような太陽から離れた地味な惑星は太陽無しで自力で輝く方法を知りません。
カリム様、貴方のいないこのお屋敷は…
私には暗くて冷たい海の底や奴隷を収容する牢屋と何ら変わりがないのです。
ですが、貴方が「待ってると言ってくれてありがとう」と言ってくれたのだから私はいくらでも耐えましょう。
私は元奴隷、耐える事には慣れています。
カリム様がお屋敷を旅立って早いものでもう1年が過ぎようとしています。