第1章 灼熱サンシャイン!【カリム・アルアジーム/切甘】
『……いってらっしゃいませカリム様、ジャミルさん』
他の使用人と同じ言葉をかけて頭を下げる
自分ではちゃんと同じように言えたと思っているようだが、声は少し涙声になっている。
「〜また泣いてるのか?」
カリムがの両肩を掴んでユサユサ揺らす。
『泣いてません!』
そう言いつつも顔を上げない、本当は涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃで上げられないのだ。
「大丈夫!学校卒業して帰ってくるのなんてすぐだ!!ジャミルも居るんだから心配すんなって!な?……頼むよ、お前に泣かれると俺馬車乗れねぇよ」
またジャミル…
は少し顔をしかめて強めの言葉を放つ。
『だから…泣いてませんってば…心配もしてませんっ!私は大丈夫です!大丈夫だから…カリム様こそ私の心配などしないでください。』
涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔をハンカチで拭ってはカリムのいる正面を向く。
『笑ってお見送りするのが、私の責務です!』
涙がまだ止まらないで伝う両頬を引っ張って口角を上げて無理矢理笑顔を作る。
『行ってらっしゃいませ、私はここでずっと…カリム様を待っていますから!』
「っ…」
カリムはの健気さに心打たれて堪らず抱きしめた。
「ごめんな…無責任に拾った挙句置き去りにするハメになってごめんな!待ってるって…言ってくれてありがとう!」
『……カリム様、これ以上馬車を待たせてはいけません。
乗ってください。新しい生活大変でしょうけど頑張ってください…カリム様に御加護がありますように』
カリムの背中をトントンと叩くとカリムはを離す。
カリムの顔もと同じくらい涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。
「カリム」
「あぁ分かってる」
カリムは涙を拭いながら馬車に乗り込む。
カリムとジャミルを乗せた馬車はパタンと扉が閉まって馬がヒヒーンと鳴いてリズム良く走り出す。
『…待って』
は自分の言ってる言葉にハッとして口元に手を当てる
馬車がどんどん遠ざかり、水平線へと消える。
見えなくなっていく馬車を追いかけるように言葉が口から流れ出る。
『待って…行かないでっ…置いていかないで…カリム様っ!』