第17章 刀鍛冶の里-強襲
しかし、2人でさえもその判断を下すのが苦しく、ましてや兄である炭治郎がその決断を下せないこともわかっていた。
杏(ここから飛び降りたところで足が折れて使い物にならない。降りたところで助けに入れない。どうすれば…、)
時透が飛び降りようとしてみたが、小鉄が慌てて止める。
皆が絶望に染まっていたそんななか、炭治郎が宙に飛んだ。
『…え??』
時「炭治郎…??」
目を見開く杏と時透。
2人が炭治郎が絶対にできないであろうと考えた選択を炭治郎がとったのかと驚く。
しかし、すぐにそうではないと気づいた。
『禰豆子さん…。』
禰豆子が炭治郎を半天狗の方へと蹴り飛ばしたのだ。
判断できない兄の代わりに彼女自身が判断して蹴り飛ばした。
その光景に杏と時透は息を呑む。
時透は記憶がなかったころは覚えていられなかったが、今は禰豆子のことを容認していた。
杏も、お館様に危害さえ加えなければ禰豆子を傷つけるつもりはなかった。
2人とも炭治郎の人間性は知っており、炭治郎は信用していたが、禰豆子についてはそうではない。
鬼である禰豆子の性格は今はわからない。
だからこそ、信用はできなかった。