第14章 刀鍛冶の里-出立
祈「霞柱さま。」
時「なに??」
祈「杏さまはどちらにいらっしゃいますか??」
時「部屋だよ。」
祈「ありがとうございます。」
祈(さっきも思ったけど、杏さまがいらっしゃるかどうかで雰囲気が全然違う気がする……。)
お礼を言いながら心のなかでそんなことを考える。
祈「杏さま。」
『どうしました??』
木箱を絡繰棚にしまった杏が部屋から出てくる。
祈「刀鍛冶の里に行くにあたって何か必要なものはありますか??」
音「私たち、里に行ったことがなくて…。」
『そうなんですか??』
今日の杏は驚きっぱなしだ。
祈「はい。刀の修繕の際はこちらから刀を送って、修繕完了したら送っていただいていたので…。」
『そうだったんですね。』
杏は入隊当初から刀鍛冶の里へ行っていたが、一般隊士のほとんどは里に行くことはない。
刀鍛冶の里へは行く回数をできる限り減らし、場所の秘匿を守っているのだ。
『特に必要なものはないですよ。里の方が貸してくださいますから。それに隠の方が運んでくださるので身軽のほうがいいんですよ。』
祈「そうなのですね。」