第38章 柱の矜持
黒(鎖、斧、鉄球。全ての鉄の純度が極めて高い武器!!私の肉から造られた刀では斬る前に灼け落ちてしまうだろう。これ程太陽光を吸い込んだ鉄は刀匠の技術が最盛期たる戦国の世にも発見されていなかった。)
黒死牟は悲鳴嶼からの追撃を躱しながらその扱いにくそうな武器を分析する。
黒(しかしそれも…間合いの内側に入れば良いだけ…。)
そう考えた黒死牟は体勢を低くして間合いの内側に入り込み、悲鳴嶼の首に刀を振るう。
しかし、悲鳴嶼は素早くその刀を躱し、すぐに反撃に転ずる。
黒(この武器を手足の如く扱える筋力。あの重量の図体でこれ程の身軽さ、俊敏さ。俄かには信じ難し。)
そんなことを考えながら戦っていた黒死牟の刀に悲鳴嶼の鎖が巻き付く。
黒死牟はその鎖を斬るべく技を出すが、悲鳴嶼の方が速かった。
黒死牟の刀が真っ二つに斬られる。
ー 月の呼吸 弐ノ型
ー 岩の呼吸 肆ノ型
互いに武器を構える。
流紋岩・速征 ー
珠華ノ弄月 ー
激しい攻防の後、一抹の静寂が訪れる。
先にその静寂を破ったのは黒死牟だった。
黒「折られたところで…すぐに再生するのだ…。攻撃は…無意味…。哀れな…人間よ…。」