第11章 護衛役
『大丈夫ですよ。では祈里さん、これを。』
祈里に竹刀を手渡す。
『音羽さんは審判をよろしくお願いします。』
音「はいっ。」
杏に促され、道場の中心で向かい合う。
『使用するのは竹刀のみ。
呼吸の型を使ってくださって構いません。
私は型は使用しません。
どんなことをしてもいいので、私から一本とってみてください。』
祈「は、はいっ。」
杏が微笑みながらルールを説明する。
祈里が返事をしたのを確認し、音羽に視線を送る。
杏の視線に反応し、慌てて右手を上げる音羽。
音「で、では、はじめっ!!」
その掛け声と共に右手を振り下ろす。
それと同時に、踏み込んでくる祈里。
─ 花の呼吸 肆ノ型 紅花衣 ─
大きく円を描くように斬りつけてくる。
杏(いきなり型を使ってきたわね。
…“紅花衣”。キレはまぁまぁかしら。)
その祈里の竹刀を綺麗に捌く。
祈「っ、」
あまりにも軽く捌かれ、目を見開く祈里。
しかし、すぐに次の技を繰り出す。
─ 花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬 ─
グッ、と踏み込み、杏の懐へ入る。
杏(…“徒の芍薬”。最大9連撃の連撃技。)