第40章 兄弟
しのぶの薬なら大丈夫だろう、と安堵する悲鳴嶼はもう1人の意識不明の者を心配する。
『造血剤です。しのぶさんのところのアオイちゃんが作ってくれました。しのぶさんのお墨付きですから、効果は確かです。』
悲「アオイ…あの子か…。成長したんだな。」
『えぇ。私も打ちましたから、悲鳴嶼さんも。止血してください。』
薬を用意する杏に悲鳴嶼は素直に自身の止血を始める。
『不死川さん、あなたもですよ。誰より出血多いんですから。』
不「…あァ。」
珍しく素直に自身の止血を始める不死川を横目に見ながら、杏は悲鳴嶼に薬を打つ。
悲「ありがとう、音白。少し時透を見てくる。」
『わかりました。』
ゆっくりと時透の元へ向かう悲鳴嶼を見送りながら、杏は不死川の腕を取る。
『止血できました??打ちますよ。』
小さく頷くその腕にスッ、と針を刺す。
『終わりましたよ。』
そう言いながら針をその場に置き、羽織の袂を確認する。
杏(しのぶさんに分けて頂いた分はこれでお終いね。気をつけないと…)
そう考えていた杏の手を不死川がぎゅっ、と握る。
『………。』
杏はその様子を黙って見つめる。
不「……音白。ありがとう…。」
小さく呟かれたその言葉に杏は小さく微笑んだ。
『いえ。………よかったですね。』
不「…あァ。あの日…相談してよかった。」
『…えぇ。』
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