第11章 護衛役
『先程勝手に解いてしまいましたので…お返ししますね。』
音「…ありがとうございます。」
祈「音羽さん、本当に素敵ですよ。
私も髪伸ばそうかと思ってしまいました。」
未だに不安そうにしている音羽に隣から優しく褒める祈里。
『えぇ。私はいつもこの簪ですが、髪紐もいいものですね。』
祈「私たちきっと、他の女性隊士から羨ましがられますよ。」
『そうだといいのですが…。』
祈「きっとそうなりますよ!!
杏さまからの贈り物なのですから。」
音「そうですね。羨ましがられるのはきっと間違いないです。」
『そうかしら…??』
杏と祈里の髪飾り素敵という言い合いに参加する音羽を見て、特に反応はしなかったが心の中でほっ、と胸をなでおろす。
音羽のように、自ら女性らしさを捨ててきたタイプは今まで杏の周りにはあまりいなかった。
杏の周りにいる女性は柱であるしのぶや甘露寺、アオイやカナヲといった鬼殺隊ではあるが、女性であることを忘れない者たちばかりだった。
自分の意思をあまり話さないカナヲもカナエやしのぶの教えだろうが、いつも髪の手入れをしっかりとしている。