第11章 護衛役
『お2人ともよく似合っていますね。
寸法は大丈夫ですか??』
2人の姿を上から下まで確認し、問いかける。
祈「はい。大丈夫です。」
音「私も大丈夫です。」
2人の返事に優しく頷く。
『祈里さん、音羽さん。こちらで少し座っていただいてもよろしいですか??』
祈「??…はい。」
キョトンとした顔をしつつも言われたとおり杏に近づき、座る2人。
『少し、失礼しますね。』
まず祈里の正面に立ち、彼女の左耳に髪をかける。
──パチン
祈「杏さま??一体何を…。」
道場には鏡がないため、何をつけられたか確認できない。
困惑している祈里を置いて、今度は音羽の背後に立つ。
『音羽さんも。失礼します。』
スッ、と彼女の結われている髪に触れ髪紐を解く。
──キュッ
音「杏さま…??」
不安に瞳を揺らす祈里と音羽の正面に戻る。
『うん、よく似合ってますね。』
杏は優しく柔らかに微笑み、2人に手鏡を渡す。
そっ、と手鏡を覗き込む祈里と音羽。
祈「っ!!これ…。」
音「桜の…花??」
バッ、とそれぞれ髪飾りに触れ、杏を見上げる。