第11章 護衛役
2人にそれぞれ道着が入った風呂敷を手渡す。
『私は先に道場に行っていますから着替えてきてください。』
祈「ありがとうございます。」
音「ありがとうございます。」
2人がペコリと頭を下げ、自室へ向かうのを見送ってから外に出る。
隊服のポケットから鍵を取り出し、戸を開ける。
──カタン
『ここも…すごく綺麗ね。
本当に隠たちには頭が上がらないわ。』
2ヶ月不在にしていたにも関わらず、以前と同じ状態の道場を見渡しふぅ、と息を漏らす。
大量に木刀や竹刀がさしてあるところへ向かい、2つの間で手を泳がせる。
杏(…竹刀の方がいいかしら。)
一般隊士と打ち合うことなど普段ない杏。
するとしてもカナヲに軽く稽古をつけてやるくらいだ。
打ち合いというと、柱同士でしかやっておらずイマイチどうしたらいいかわからない。
杏(柱の方と打ち合うときは木刀だけど…あの子たちとだと危ないわよね。)
うん、と1人納得して頷く。
──カラカラ
祈「お待たせいたしました。」
音「失礼します。」
戸を引く音がし、そちらへ顔を向けると用意した着物と袴に身を包んだ祈里と音羽がいた。