第11章 護衛役
祈「あっ、」
音「…忘れてました。」
杏の言葉で食事のことを思い出した祈里と音羽がハッ、とした表情を浮かべる。
そんな2人を見ながらふふっ、と笑う。
──バサッ
そのとき、空から音がして見てみると2羽の鴉がこちらへ飛んできていた。
祈「雫。」
音「琥珀。」
その2羽に手を伸ばす祈里と音羽。
それぞれの腕に綺麗に着地した鴉。
祈里と音羽は腕に鴉をとめたまま、杏の方へ向きなおる。
祈「私の鎹鴉の雫─ しずく ─です。」
音「私の鎹鴉の琥珀─ こはく ─です。」
2人により紹介された2羽の鴉は礼儀正しく杏に向かって頭を下げる。
雫は濡れたようにも見えるほど艷やかな黒い羽がとても美しく、琥珀は羽も瞳も美しい黒だが、不思議なことによく見てみると瞳に琥珀色の光がはいっているように見える。
『雫、琥珀、よろしくお願いしますね。
私は桜柱の音白杏と申します。
この子はサクラ。私の鎹鴉です。
仲良くしてあげてくださいね。』
サ「ヨロシクネ!!」
サクラの頭を撫でながら丁寧に挨拶する。
雫「ヨロシクオ願イシマス。」
琥「ヨロシクゥ!!」