第50章 勝利と代償
こちらの作戦を聞いて知ってるから逃げられちゃうんですよ、と困ったように笑っていたしのぶを思い出す。
ア(そんな杏さまが三度声をかけられて気づかない、なんてことがあるの??)
血の気が引く頭でそんなことを考える。
『アオイちゃん??どうかしましたか??』
しかし、杏のその声で我に帰る。
ア「いえ…!!なんでもないです。では、失礼しますね。」
ガタッ、と音を立てながらお膳を取り、バタバタと部屋を出る。
そして、そのまま早足である場所に向かって歩く。
カ「わっ、」
ア「あっ、」
勢いよく角を曲がったところでカナヲと鉢合わせた。
カナヲの反射神経のおかげでぶつかることはなかったが、アオイはお膳を落としそうになる。
しかし、それをカナヲが上手く支えてくれた。
ア「あ、ありがとう、カナヲ。」
カ「大丈夫だよ。それよりアオイ、顔色悪いよ??大丈夫??」
ア「だ、大丈夫よ。ごめんなさい、ちょっと慌ててて……。」
カ「急いでるなら私このまま台所まで運んどくよ。」
ア「え、でもカナヲはまだ……。」