第50章 勝利と代償
1週間程経ち、杏はまだ歩くまでは難しくとも自分で身体を起こして、短い間ではあるが座っていられるようになるまで回復していた。
──コンコン
『どうぞ。』
ア「失礼致します。」
扉が開くとお盆を持ったアオイが入ってきた。
ア「杏さま、昼餉をお持ちしました。」
『ありがとうございます、アオイちゃん。……アオイちゃん。』
アオイにお礼を言いながら机に置かれたお盆を見ていた杏は出て行こうとしていたアオイを呼び止める。
ア「どうされました??」
他の患者にも配膳に行かなければならないだろうに律儀に近くまで戻ってきてくれるアオイに杏は申し訳なさそうな顔をしながら小さな声で尋ねる。
『もうそろそろ通常の……』
ア「ダメです。」
『………まだダメなの??』
最後まで言わせてもらえず、食い気味に拒否された杏は小さくなりながら再び尋ねる。
ア「杏さま。まだ食事を再開して3日です。風柱さまに比べたら内臓に損傷は少ないですが、それだけの大怪我をされているのに加えて、一月半食事をされていなかったんです。急に常食を食べられては胃が耐えられません。」