第50章 勝利と代償
その声とともに手元で小さくなっていた黒は顔の近くまでぴょんぴょんと跳んできた。
こちらを心配そうに覗き込むその姿にしっかりと目を合わせてゆっくりと瞬きをする。
サ「杏…!!心配シタノヨ!!待ッテテ!!今蟲柱呼ンデクルカラ!!」
そう捲し立てた黒──…サクラはバタバタと飛び去ってしまう。
行っちゃった…と思ったのも束の間、すぐに扉越しでもわかるほど向こう側が騒がしくなる。
──バンッ
扉が壊れるのではないかというほどの勢いで小さな塊が3つ部屋に転がり込んできた。
き.す.な「「「杏さまぁーーーー!!!!」」」
わぁー!と涙を浮かべながらも笑顔でベッドで横たわる杏に左から右からと飛びつく。
杏(きよちゃん、すみちゃん、なほちゃん…。少し痩せたかしら。やっぱり大量の怪我人の世話は大変よね。)
そう思いながら3人娘を眺めていると、パンパンと手を叩く音が部屋に響いた。
し「きよ、すみ、なほ。それくらいに。」
その声に3人娘はバッ、と泣きついていた身体を起こす。
き「すみませんでした!!」
す「私たち新しい包帯取ってきます!!」
な「また来ますね!!」
そう口々に言いながら慌てて部屋を出ていく姿を視界で追う。