第9章 i will be your hero~azalea~*
ソワソワしている菜緒をみて相澤は
(緊張しているのか?いや,でも,そんなはずないか)
相澤は今までの菜緒の行動を振り返り,どうもキスにしても何にしても慣れてない所もあるが,どちらかというと慣れている方だと思った。だから,男の家くらい行ったことあるだろうと考えてたが,自分以外の男の家に上がったと考えれば,イライラが募るばかりで相澤自身もそれを出さないように無言を貫いていた。
2人はエントランスを抜けオートロックを開けるところまで来たところで相澤は急に止まった。
『?』
菜緒はどうしたのだろうと思ったが相澤も何も動かないため待っていたら
「・・・悪い菜緒,俺のズボンのポケットに家の鍵があるからとってくれないか」
『へ?』
「両手がこれで鍵が出せない」
そういって相澤は菜緒の方に包帯で巻かれている腕をみせた
『ぷっあはははははは。それでどうやって一人で家に入るつもりだったんですか‼あははは。面白。緊張したのに損した気分。も~本当』
と菜緒は急に笑い出しツボに入ったらしく,笑いが止まらなくなっていた
『ポケットですね。とりますね』
そういって菜緒は相澤のポケットから鍵をとり
エントランスを抜けエレベーターにやってきた
『何階ですか?』
「5階だ」
『ぷっ本当に一人でどうするつもりだったんですか?クスクス』
菜緒はずっとエレベーターが来るまでも笑い,来た後も笑っていた。
「別にこれ取って押せばいい話だ」
『そしたらもっと怪我が悪化するじゃないですか』
「別に対したことない」
『そういう時に呼べる彼女はいないんですか?』
「いないから,いま頼んでいるんだろ」
(いないんだ)
菜緒は自分から質問しておきながらなぜだか緊張したがいないと言われた瞬間にほっとしていた
その理由は今だにわからないままだった
「・・・・なぁ菜緒さっき緊張したって言ってたが」
相澤はさっき菜緒が言っていた言葉が気になって会話に集中できていなかった