第13章 past love~anemone~
そして漸く店でも一人前として酒を出せるようになり,稼ぎも安定し貯金も貯まった時に俺は決意して
「ゆか結婚しよう」
そう言ったんだ
返事はもちろん泣きながら
「はい」だった
俺はその時舞い上がって柚香がちょっと悲しんだ顔をしているなんて気づきもしなかった。
その後仕事が忙しくお互いの休みも合わなかったから
2か月まではいかないが久しぶりに結婚式や一緒に住む話をしようと思い柚香と会った
そこには楽しみで笑顔溢れる柚香はどこにもなく
俺に一言
「別れよ。結婚もなかった事にして」
とだけ言って去っていこうとする柚香だった
俺は急いで引き留めた
「待ってくれよ,どういうことだよ!この前まで嬉しそうにしてたじゃねぇか⁉」
「やっぱり,稼ぎがない人とは結婚できないと思ったの」
「俺はそんなに将来不安になる稼ぎ方はしてねぇ」
「夜の仕事じゃない」
「なんでそんなこと言うんだよ。俺がこの仕事にプライド持ってること知ってるだろ⁉」
「うるさっ!うぅ!」
何か言いかけたところで柚香は俺の手を振りほどきトイレに走っていった。
すぐ追いかけると
「うぇぇぇえ」
と吐いている柚香の姿だった。
「おい大丈夫か」
「さ・・わら・・ない・・で」
「大丈夫なわけないだろ。ゆかお前痩せただろ。それに顔色も悪い・・・・もしかして妊娠してるのか」
そういうとゆかは肩をビクッとさせた
「もちろん俺との子だろ!それならなおさら,一緒に!ずっと夢見て,一緒頑張って育てようて言ってたじゃねぇか」
「・・・・違うの」
「え?」
「・・・だから違うの」
「え?待てよ,違うくないだろ。だって・・おれ・・としか
・・・・・・別の男・・・か」
「・・・」
柚香は無言だった。それは肯定と言ってる感じだった
「・・おい・・どういうことだよ。ずっとすっと一緒にって,結婚も・・・子供もこれから・・・たの・・しみ・・・に・・」
「ごめん」
「ふざけるな。・・ふざけるなよ・・ふざけるなよ‼
謝ってすむ問題か‼その症状が出たってことはその男とずっとってことかよ!今まで俺がっ!つっ!ふざけんな!!」
「ごめん。指輪返す」
「つっ⁉そんなもん誰がいるか⁉」
「・・・」
「ふざけんな。もうお前とは会わない。その男とよろしくやってろ」
そう言って俺は店から出て,これが柚香と会った最後の日となり,次にあった時はもう目も開けず話すこともないゆかだった