第13章 past love~anemone~
「勿論菜緒は菜緒だ。けどな菜緒さんは,菜緒の苗字を知っていますか。年齢。家族構成,個性,知っているか?」
「・・・知りません」
「まぁ教えてくれなかったていう所でしょう」
「・・・・」
「相澤さん。俺はあんたのことを信用したいから見定めたいんだ。だからこそ菜緒が誰なのか。それを菜緒にバレずに見つけてくれねぇか。これができねぇと俺は菜緒のことを教えられないな」
「・・・難しいですね」
「そうかい?案外すぐわかるかもしれないぜ」
「近くにいるということですか」
「さぁどうだろうな」
「なんとも非合理的会話ですね」
「まぁそんなことも大切さ」
「わかりました。また来ます」
一通り話した後,これ以上話しても何も得られないと思い帰ろうとしてたその時
「相澤さん」
と酒坂は話しかけてきた
「はぁ~他に何か?」
「せっかく来てくれたので私の話をききながら1杯どうですか」
そう言って酒坂は普段の話し方から客に対する会話に戻っていた。
「せっかくですが色々やらなければならないので帰らせていただきます」
「そうですか。手掛かりになる昔話でも聞いて帰らないかと思いましたが,やることがあるなら仕方ありませんね。またいらし,おや,1杯飲まれるんですか」
「せっかく来たし1杯頂こう」
「1杯分の話でよければ」
「2杯飲んだら,その続きがきけるのか」
「それは難しいですね」
「そうかい」
そう言って酒坂は昔のことを思い出し
相澤に入れる酒の準備をし始めた