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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第7章 ー天使の古巣ー


「あんなこととは?」

まだ何かあるのかと噴き出しそうになる灼熱を強い理性で喉元に押し留める。
それでも木吉は話しだそうとしない。
隠そうとしているわけではない。
ただ、話す上で言葉をよりすぐっているようにも見えた。

「何があったんですか?最後まで話してください」

「…俺も後輩に聞いた話だ。実際見たわけじゃない…だから、事実だけを言う…」

「はい」

赤司に再度促されてようやく前置きを口にする木吉に、それほど言葉を選ばなければいけないような出来事なのだろかと身構える。

「…家庭科の授業で調理実習があって…湯を沸かしてた鍋を倒した生徒がいて…その中の熱湯が…久遠の足に…」

本当に事実のみだった。
そこに憶測の類は見当たらない。
推測に至る情報もない。

「鍋を倒した生徒は?」

「…女子バスケ部員だったみたいだ」

推測するのにその情報だけで十分だった。
全てが延長線にあることくらいそれだけで十分判断ができた。

「その後、天野はどうなったんですか?」

「久遠は…救急車で運ばれて…長いこと入院していた…」

「それでその後学校には?」

「年が明けてから何日か登校はしたらしい…けど、すぐ来なくなったらしい…」

『らしい…』。
もうこの頃には関係は切れているのは明らかだが敢えて

「木吉さんは天野とは?」

と訊く。

「俺は久遠が入院してから会ってない…久遠は携帯を持っていなかったし、俺は久遠の家も知らなかった…登校して、また来なくなったのもしばらく経って後輩から聞いた話だ…」

本当にバスケでしか繋がっていなかったことがわかる。
そして、それを木吉にも自覚させるための質問でもあった。

「わかりました。ありがとうございます」

言葉は丁寧であるのに、それを口にする赤司の瞳は冷たく木吉を見下ろしていた。
木吉はそれに気づいているのかどうか。
いや、気づいていたとしても怯むことなく赤司を見上げ、しっかり目を合わせる。

「久遠は元気なのか?今はマネージャーだと言っていたけど、たまにはバスケをやったり…」

「やってませんよ、もう」

木吉の言葉を遮るように赤司の凍てつく言葉の矢が放たれた。
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