第7章 ー天使の古巣ー
テスト前の部活動休止期間一日目。
本来であれば生徒たちはテストに向けて勉強に励む期間となっている。
そんな中、放課後、赤司はある場所に向かい、今まさに到着して目的地の目の前にいる。
目の前には他校の校門。
校門には学校名が記されている。
ここは『昭栄中学校』。
久遠の古巣である。
どうしてここに来たかというと、もちろん久遠のことを知るためだった。
毎日のように久遠と共にいるが、前の学校での話は聞いたことがなかった。
赤司が前の学校のことで知っているとしたら、ここではプレイヤーとしてバスケをしていたと言うことだけだった。
では、どうして怪我をして、どうして転校に至ったのか。
実際、遠回しに尋ねたことは何回かあった。
しかし、毎回欲しい答えの斜め上の回答をされてしまう。
それは久遠の天然故のものなのか、それとも意図的にはぐらかされているのか。
その答えすら導き出せないほど自然に、であった。
そんな経緯があり、では直接訊ける場所にとここに来たまでだった。
不法侵入になってはいけないのでまずは職員室を訪ねる。
自分の学校名、所属、氏名をしっかり名乗り、来校者名簿にもそれを記載する。
「バスケットボール部の方と話をしに来ました」
それだけ伝える。
事情の知らない教員は練習試合の申し込みにでも来たのだろうと呆気なく来校証を渡していた。
体育館まで案内しようとする教員を手で制し、
「場所はわかりますので大丈夫です。お忙しい中、ありがとうございます」
と、中学生らしからぬ気遣いを見せられれば教員も感心して送り出してくれた。
校門から職員室へ向かう間に校舎と体育館の位置関係は把握している。
学校というある意味パターン化されている建物の性質上、体育館であれば初見の校内でも迷わず向かうことはできる。
問題はその後である。
体育館に着いたら久遠の情報を持っている女子バスケ部員を見つけなければならない。
それも表立って目立つわけにもいけない。
騒ぎになったらそれはそれで面倒でもある。
(まずは同学年の部員を見つけて声を掛けるか)
そんな方針を立てながら淀みない足取りで体育館へ向かった。