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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第6章 ー天使の穏やかなる放課後ー


それから何ともない会話をしながらしばらく歩き、交差点で信号待ちをしていた。
何気なく二人は無言になり、赤司は目の前の赤く光る歩行者信号を眺めていた。
先程、使用人には早く帰るように言われたが、せっかく部活も早く終わって律と一緒に帰っているのだ。
寄り道とまでいかないでも少しだけ回り道をして、律との二人だけの時間を楽しみたい。
そんなことを考えて、信号が青信号に変わったタイミングで「橘」と呼び、振り向いた。
しかし、そこに律の姿はなかった。

「なっ…!?」

律が何も言わずに自分のもとからいなくなることなんて想定もしていなかった。
信号待ちの1分やそこらの時間でどこに行ったというのか。
急いで辺りを見渡す。
ここの通りはバスも通る割かし大きな通りであるため、夕方のこの時間は人通りも車通りもそこそこ多い。
身長の小さい律は人ごみに紛れてしまえばまず見つけられないだろう。
少しの手がかりも見逃すまいと目を見開いて探す。
そうして視界にとらえた明るい色のパーマ頭はなんと道を挟んだ向こうの横断歩道を渡っていた。
なんでそんなところに、と疑問に思ったがすぐにその訳を理解した。
それは律と手を繋いで歩いている人物がいたからだ。
次の信号で赤司も道の向こうへ渡る。
赤司が誰かのもとに駆け寄るなどということはもう久しくないことだ。
そうしていた人物はもう失ってしまった。
そんな感傷的はことを考えてしまった自分にフッと笑いが込み上げる。

「橘、急にいなくなったら心配するよ」

すぐに追いついた律の背中に声をかける。
振り返った律の瞳は見開かれていて、どうやら赤司の存在を忘れていたことが見て取れた。
律と手を繋いでいる人物も振り返り、赤司を見上げた。
律が手を繋いでいたのは、律よりも更に小さな老婆だった。
腰が曲がっていて歩きにくそうなのに大きな荷物を持っていたようだ。
その大きな荷物を今は律が片腕に抱え、反対の手で老婆の手を取り支えていた。

「赤司くん。ごめんね、信号が変わっちゃいそうだったから、声、かけれなかったのー」

もう一度「ごめんね」と繰り返す申し訳なさそうな律に小さく息を吐いた。
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