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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第6章 ー天使の穏やかなる放課後ー


そんな男性に対する赤司の視線はますます冷ややかになり、その威圧には大の大人でも冷や汗が滲む。

「彼女は男子の制服を着ているが身も心も女性だ。見た目だけで判断するとは大した愚行だ」

追い討ちをかけるように冷たく言い放てば、結局のところ、男性は渋々引き下がるしかなく、くれぐれも遅くならないように進言してから車に乗り込み去っていった。
赤司は車が見えなくなるまで眼光鋭く睨みを効かせていた。
それを珍しく心配そうに眉を下げてみていた律に気づくと、送迎と遭遇する前の柔らかい表情に戻した。

「足を止めさせてすまなかった。行こう」

赤司が歩を進めると律もそれに従って歩き出した。
ただ、未だに心配そうな表情は解けない。

「赤司くん、車で帰らなくて大丈夫?」

「大丈夫だ。今日は橘と帰るといっただろう」

「でも…パパに怒られない?」

「父は関係ない。来週のテストで結果を出せば何の問題もないよ」

「んー…」

どんなに(赤司としてはこの上なく)優しく言い聞かせても久遠の心配は拭えないらしいので、赤司は久遠に聞こえないように小さく息を吐き、話題を切り替えることにする。

「そういえば今度の中間テストは橙が転校してきて初めての定期テストだな。勉強はしているのか?」

「ん?んー、テスト勉強としてはやってないけど、一応授業の予習復習はしているよー」

どうやら思惑通りに話題を変えることが出来たようだ。
赤司は少し安心して会話を進めることができる。

「意外だな。橙が勉強しているとは思わなかった」

少しだけ冗談めいて言ってみると、それが通じたのか久遠は微笑んだ。

「久遠、勉強はキライじゃないんだー」

ニコニコして答えるから本当にそうなんだろうとわかる。
果たして彼女の普段生活の中で苦手に感じたり、不快になることはあるのだろうかと赤司は疑問に思うが、それはこれから一緒に過ごす時間の中で見つけていけば良い。

「じゃあ、次の中間テストは橙のお手並み拝見だな」

そう赤司が言えば、「お手柔らかに〜」と久遠が返す姿は周りから見ればどこにでもいる中学生に見えた。
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