第6章 ー天使の穏やかなる放課後ー
そう、向こうのメンバーと帰った方が楽しい話もできるだろうし、あの様子だときっと寄り道するなという方が難しい。
コンビニで済めばいいが、その後ゲームセンターなどいつもは行かないような寄り道スポットにも行くかもしれない。
そのような期待ができるのは自分じゃなく、向こうのメンバーであることは赤司自身わかりきっていた。
「んー、なんで?」
当の質問された律は、質問に対する返答よりもどうしてそんな質問されたのかが気になってしまったらしい。
質問を質問で返される形になったが、自分でもこの質問は唐突過ぎたと反省して、今回はあまり不快感なく説明をしてやる気持ちになった。
「あの様子だときっと向こうは寄り道をするだろう。向こうと一緒に帰った方が楽しい思いができたはずだ」
赤司は自分の分析結果を簡潔に伝えると立ち止まって真顔で律の顔を見つめた。
律の表情から気持ちを読み取ろうとじっと見つめる赤司の目には大多数の人間は圧倒されるであろう程の力があるが、律にそれは通じないらしく、「んー」と顎に指を当てて視線を斜め上に逸らして考え事をしている。
多少眉を寄せている顔は、普段がいつも笑顔の律にしては珍しい表情であって、赤司にしてみたら少し意外な気持ちになる。
そんなものだから、律が考え事している数秒の時間も気にすることなく待つことが出来た。
そして、考えがまとまったのかピコンと少しだけ顔を上げた律の頭上には豆電球が点灯し、すぐに口角を柔らかく上げた。
「赤司くんが寄り道するなって言ったのに寄り道したら、赤司くんに怒られちゃうよー」
その返答に赤司は自分に怒られたくないがために向こうに行かないのかと内心ガッカリして、「それに…」と言葉を続けるのを聞きそびれるところだった。
「赤司くんと帰るのは楽しいよー」
その言葉が真実であるかどうかはわからないが、律にニッコリ笑ってそう言われたら疑う気持ちが起きない。
「そうか。ありがとう」
そう言って久遠の頭を撫でてやるとすごく嬉しそうな顔をする。
赤司が久遠と出会ってから1ヶ月が経とうとしているが、久遠は頭を撫でられることがとても好きだということはすぐにわかった。
表情が全然違う。