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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第5章 ー天使の祝福ー


「カッコ悪いってー?」

律が不思議そうに黄瀬を覗き込んでくる。

「だって、自分から祥吾くんに勝負吹っかけといて、1本もシュート決めらんなかったし、防げなかったし」

わざとらしく大きなため息をついて見せるが、勝負後ほどの深刻さはない。
律は未だに不思議そうな顔をして、顎に人差し指を押し当てて「んー」と何かを考えている。
そうして何かを思いついたようにピンと指を外すと、黄瀬に向き直った。

「黄瀬ちゃんはカッコ悪くなかったよー?」

「いやいや、慰めはいいッスよ。誰がどう見たってカッコ悪い負け犬だったっしょ」

「黄瀬ちゃんはシュートも入らなかったし、1本も防げなかったけど、プレーはすごくカッコ良かったよー?」

ニコニコしながらそう言われれば、例えそれがお世辞であったとしても悪い気はしなかった。
「そうッスかー?」と照れ隠しに言えば、「そうだよー」とにこやかに肯定される。
それはだいぶ心地良かった。
律は黄瀬の隣に腰掛けると、吹いてくる風を愉しむように大きく伸びをした。

「黄瀬ちゃんはさ、学ぶ力がすごくあるよねー」

何の脈絡もなく、何の気なしにサラリと律に言われ、黄瀬は何を言わんとしているかわからなかった。
「自慢じゃないッスけど、オレ、勉強の方はからっきしッスよ?」と、ハハハと笑いながら隣の律を見る。
律の大きな瞳と目が合った。
目が合うと律は少しだけ目を細めて微笑んだ。
それが何とも可愛くて、どこか気恥ずかしくなった黄瀬はパッと前に向き直ってしまった。
それを気にする様子もなく律は「お勉強は難しいからねー」なんてのほほんと言った。

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