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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第5章 ー天使の祝福ー


「あ、そうだー。マッサージ、してもいいー?」

思いついたように尋ねる律だが、もう既に黄瀬の肩に手を乗せていた。
黄瀬としては断る理由はない。
むしろ灰崎との勝負で消耗している黄瀬にとってみたら願ってもない申し出だった。
なので、されるがままにマッサージを受ける。
肩から背中にかけてのマッサージが終わると、今度は下肢のマッサージのためか階段を降りてきた。
そして、バッシュに手をかけた。

「足の先っぽもしたいからバッシュとるねー」

「え、ちょっと、それは!」

慌てて体を起こすとバッシュにかかっている律の手から逃れようとする。
さすがに毎日履いてるバッシュ(一応毎日消臭はしてる)で、しかも練習直後の蒸れた足を女子に晒すなど、さわやかイケメンを売りにしているモデルである黄瀬にとっては大変抵抗がある。
それを知ってか知らずかは定かではないが、律は「大丈夫、大丈夫ー」と慣れた手つきでスルリとバッシュから足を抜くとマッサージを始めてしまった。
きっと湿って、青春の香りもするであろうことを考えるとさすがの黄瀬であっても羞恥のあまりタオルで顔を覆い、天を仰いでいた。
しばらくそうしていたが、気持ちが落ち着くとマッサージをする律をチラリと盗み見た。
普通の人なら触りたくもないであろう。
それでも律は楽しげに柔らかい表情でマッサージをしている。
黄瀬の視線に気づくとニッコリとさらに微笑んだ。
微笑みはしたが特に何か言葉を発することもなく、律の視線は再び黄瀬の足に向いた。

「はい、おわりー」

結局、律にされるがままマッサージを最後まで受けた黄瀬であったが、終わってみるとその表情は驚きのものだった。

「すごいッス…」

「?」

「すっごい楽になったッス!」

律は「ホント?良かったー」と嬉しそうに笑うと近くの水道に手を洗いに行った。
黄瀬は改めて自らの体と向き合う。
マッサージを受けたのは肩から背中辺りと下肢だけだというのに、体全体が軽くなった気がする。
むしろ、それに伴って勝負に負けてから沈んでいた気持ちまでも軽くなったように感じた。
だからか水道から戻ってきた律に、「あーあ、みんなの前でカッコ悪いところ見せちゃったッス」なんていつもの調子が戻っていた。

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