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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第5章 ー天使の祝福ー


黄瀬と灰崎の1on1は内容的には悪くなかった。
ただ攻守ともに黄瀬は灰崎に及ばなかった。
オフェンスは良いところまでボールを持っていけるが寸でのところで軽々と防がれる。
ディフェンスは寸分届かず防げない。
ただ赤司の隣でそれを見ている律は楽しそうに、「わぁ、すごいね」「上手だね」「あ、今のは惜しかったね」と何の気なしに声を上げている。
結果は1本も取ることなく、1本も防ぐことなく、スタミナが尽き、黄瀬の心が折れる方が早かった。
膝を折る黄瀬に見ていた者はこの勝負が終わったことを悟り、止めていた手を動かし始めた。

「あーらら」

特に感慨もなく言う紫原に

「まあ、さすがに…まだ早すぎたな」

と、呆れたように後頭部を擦る青峰。

「成長速度は確かに驚異的だが…」

緑間の言葉の後は、黄瀬がまだまだ自分たちのレベルにまで達していないということだろう。
しかし、赤司はまだ事の成り行きは終わっていないとばかりに二人を見ていた。
ちょうどチャラチャラした見た目の女子が灰崎を呼んだところだった。
周囲は黄瀬の彼女だと言うが、ようやく立ち上がった黄瀬はそちらには一度も視線を送らなかった。

「赤司、黄瀬のフォローはどうする?」

灰崎が体育館を出て行くまで様子を見ていたが、灰崎の姿が見えなくなるとようやく行動を開始した赤司に緑間が声をかける。
あれほど打ちのめされて誰も何のフォローをしないのは、さすがに後々に響くのではないかと危惧したためだった。
しかし、赤司は緑間には目も向けずに口を開く。

「その必要はない。その程度でダメになるのならそれまでだ。それに…」

赤司はチラリと視線を動かす。

「どうやら天使の祝福を受けるのは黄瀬のようだ」

「天使の、祝福…?」

赤司の言っていることが理解できない緑間は、赤司の視線の先を追う。
そこにはキラキラと目を輝かせながら、ルンルンと歩く律がいた。

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