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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第5章 ー天使の祝福ー


「あ゛あ゛?今なんつった、リョウタァ…?」

放課後練習も終盤に差し掛かったときだった。
灰崎のドスのきいた声が体育館に響く。

「だからー、スタメンの座を賭けて勝負してくれっつったんスよ」

一部では恐れられている灰崎が眼光鋭く凄んでも、黄瀬は飄々と軽口を返している。
入部して間もない黄瀬がそうしているのは単純に自信の表れだった。
確かに黄瀬の入部してからの成長速度は凄まじいものがある。
初心者ながら中2で入部し、2週間ほどで一軍にあがってしまった。
その後も一軍のきつい練習についていっている。
バスケの技術も向上したところで、果たして今自分が一軍でどのくらいの実力であるかを確かめたくなったのだろう。
そして、灰崎は売られたケンカをスルー出来るような性格ではない。
2人だけで話は進み、まさに今から勝負が始まりそうだった。

「いいのか?赤司」

一歩間違ったらチームの和を乱しかねない勝負なだけに、見過ごしていいものか判断しかねた緑間は赤司に尋ねる。

「許す。やらせてみよう」

副部長である赤司の許しが出たとなると、皆は練習を中断し勝負の立会人になる。
赤司は体育館の端にいた律を見た。
律は何が起こっているのか状況が飲み込めていないようで、どうして皆が練習をやめてしまったのか不思議そうに周りを見渡し、「?」と首を傾げていた。
そんな律を「ちょっと来てくれ」と、自分のもとに呼び寄せる。

「今から灰崎と黄瀬が勝負するから見ていてくれないか?」

「うん、わかったー」

律は未だに事態を把握できていないようだが、赤司の隣でとりあえず事の成り行きを見守ることとなった。

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