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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第4章 ー天使と巨人ー


ようやく練習時間が終わり、練習前に体育館周りを走ったことも加わりいつもより活気のない紫原は棒状チョコレート菓子プッキーを数本咥えながら更衣室を後にした。
更衣室内でもいいだけお菓子を食べて、いつもの如く緑間に注意を受けたが返事もせずに無視を決め込んだ。

昇降口に着く頃にはプッキーもなくなったので、次のお菓子をとバッグを漁っているときだった。

「ムッくーん」

廊下の向こう側から律が走ってくる。
紫原のもとにたどり着いた律は、どれほどの距離を走ってきたかというくらい息が切れていた。

「橘ちん、めっちゃ息切れてるけど、どっから走ってきたのー?」

「廊下の角、曲がってから?ムッくんが見えたからー」

「んじゃ、そんなに走ってないじゃん。なのにそんなに息切れるって、橘ちん、どんだけひ弱なのー」

呆れるように橘を見下ろす紫原だが、それでも律が靴を履き替えるまで待っているあたり邪険にしてはいない。
律が靴を履き終わると、二人どちらともなく歩き始める。
昇降口を出ると、紫原は思い出したかのように再びお菓子を求めてバッグを漁り始めた。
しかし、いくら漁っても目的の物がないことを知り、大きく溜息をつき、肩を落とした。
紫原にとったら死活問題だ。

「ムッくん」

名前を呼ばれて下を見れば、律がグミの袋を差し出していた。

「あー、ありがとー」

それを受け取ると、1粒ずつ(彼にとったら)ゆっくり食べた。
いつもなら2・3粒一気に食べているところだが、これを食べてしまったら後がない。
それに最近は律からもらうお菓子は何故だが長く楽しみたいと思うようにもなっていた。
紫原がお菓子を食べている様子を横でニコニコして眺めている律にも1粒つまんで差し出すと、嬉しそうに口を開くのでポンと入れてやる。
一瞬、ヒナにエサをやる親鳥の絵が脳裏によぎって一人で笑ってしまう。
そんなこととは知らない律が「おいしーね」とにっこり微笑めば、何となくむず痒いような気持ちになった。

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