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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第3章 ー天使は才を慈しむー


しばらくの間、駒が盤に当たる音だけが響いた。
しかし、やはりそれだけでは時間が勿体無い。
オレは訊いておかなければならないことがあるのだから。

「橘にこれから何をさせるつもりなのだよ」

唐突に訊いてみても、赤司は驚いた様子などは微塵も見せない。
ようやく来たかとばかりに口角を上げたくらいだ。

「橘には人をケアする能力がある。運動している者を見て、どこにどれだけの負荷がかかっているのか、どれだけ疲労しているかを知り、それをどのように解消するかを分析し、実行できる」

「だからマネージャーの仕事はそっちのけで練習を眺めているということか」

「そうだ。今は1人を見ることしかできないが、最終的には5人同時に見れるように練習も兼ねて時間を割いている。全中までにはそうなってもらわないとね」

「うちのチームにそこまで橘の力が必要とは思わないのだよ」

「いいや、緑間。この能力はとても貴重だ。バスケットボールは1試合で体力を大きく消耗するスポーツだ。その割りに1日に2・3試合やるなんてのも珍しくない。その為、主力選手をどのように温存するかも戦略のうちに入るが、では、試合と試合の間に大幅な回復ができたならどうか?もしかするとクオーター間のインターバル中にだってそれができるかもしれない」

「橘の能力はそれほどなのか?」

「それは身を持って体感してみるといい。それにオレは彼女の力がそれだけに留まらないのではないかと思っている」

赤司の言葉が何を言わんとしているのか掘り下げて質問したかったが、パチンと打たれた赤司の一手にオレはしばらく熟考を強いられてそれは叶わなかった。
この勝負もあと数手の内に投了することになるかもしれない。
それまでに橘が来ることを祈るばかりだ。

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