• テキストサイズ

【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第2章 ー記憶の中の天使ー


「君は女の子なのにどうして男子の制服を着ているんだい?」

やはりそこに限る。
目の前の人物は制服こそ男物だが、女性である。
それは過去に会ったことがなくても、骨格や筋肉のつき方を見れば赤司には容易にわかる。

女が男の格好をする、そこにどのような理由があるかはわからない。
しかし、それは本人にとっては言い難いことだろうとは予測がつく。
それまでにこやかに微笑んでいた彼女はどんな顔をするのだろう?
きっと天使のような彼女でも少なからず表情を曇らせるはずだ。
10年前の天使も成長とともにそれなりに人間に堕ちているのだろう。

赤司は期待なのか不安なのか判断できない感情を抱く。
しかし、彼女は目を輝かせて「わぁ!」と声を上げて、笑みをこぼす。

「すごい!律が女の子だって当てたのアナタが初めてー」

そう言うと立ち上がって、ズボンをはたいた。
そして、足に大きな火傷の痕があること、それを隠すのに学校に許可を得てズボンをはいていることを何の躊躇いもなく話して聞かせた。

ニコニコとしている彼女。
赤司は驚きを隠せなかった。
例え不遇な過去があろうと、それをさも自分が特別であるかのように得意げに話す人間はいる。
しかし、彼女はそうゆう類のものではないようだった。
ただただ無邪気。
10年前と変わらない笑顔を浮かべている。

/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp