第2章 邂逅そして、第一調査
「貴女は?」
見かけない顔に、ナルは相変わらずにこりともせずに女性に問う。
「私は、関瑞紀と申します。今回、ちょっと困ったことがあってこちらに伺いました。」
正反対ににこりと笑みを浮かべた関さんは、ナルを見据えてそう言った。そこでやっと名前も聞いていなかったことに気づく。
「すみません。名乗りもせずに、谷山麻衣です。ここの事務員をしてます。」
「俺は、滝川法帖。まぁ坊さんだな。」
「それでぼーさんと?」
「まぁな。」
納得いったように頷いた関さんはそれで?とナルを見た。
「渋谷一也。ここの所長です。」
「お若い所長さんですね。」
それ以上もそれ以外も言わなかった関さんにちょっと驚いた。
「それで…ご依頼とは?」
「心霊調査とはちょっと違うかもなんですけど…私、最近急に一般的に言う幽霊というものが見えるようになって…仕事とかに差し支えるから見えなくなりたいのだけど。なんとかできますか?」
関さんの依頼は一風変わっていた。ナルもそう思ったのか、いつも書き込みをしているバインダーから視線を上げると関さんへと向ける。
「病院へ行ってみては?」
「そう、思います?正直、色んな所に行ってお祓いだのなんだのとしたんだけど、誰も彼も幽霊なんてものは信じていない様子でした。寺でも神社でも見えないのが一般的らしく、よくてカウンセリングのようなことをしてくれるくらいで、大概頭おかしいんじゃ?的な目で見られて終わり。正直自分でも自分が信じられない状況になってきて。」
そこで、息をついた関さんは力なく笑った。
「本当に見えるのですか?証明することはできますか?」
ナルの質問に対して、関さんは少しかんがえるそぶりを見せると
「だれか幽霊が見える人はいますか?その人と同じものが見えたらとかではダメでしょうか?」
「…いいでしょう。では、本日はむずかしいので後日改めて連絡します。連絡先を…麻衣。」
何かに納得したらしいナルは調査を受けることにしたらしい。連絡先を教えた関さんは深々と頭を下げるとオフィスは何かを考え込むナルとぼーさん。よくわからない私が残された。