第2章 邂逅そして、第一調査
その日は、青空も高くカラッとした天気だった。その人がSPRを訪れたのはそんな日のお昼下がりだった。
「よう。麻衣!」
「ぼーさん!なんだか久しぶりだね。」
「まぁな。これ、食べようや。」
ぼーさんが差し出したのは近くの有名店のお菓子。食べてみたかったそれに、ぼーさんに応接用の椅子を進めると自分とぼーさんそれから、自室へ篭りっぱなしの2人用のお茶を用意する。そんな時だった。来客の気配でも感じたのだろうか珍しく自室から出てきたナルはぼーさんを見つけるとあからさまにため息をついた。
「…ここは暇つぶしの場所では無いのですが?」
たまたま時間が空いたから立ち寄ったというぼーさんに対して、相変わらずの冷たい対応の我が所長に。ぼーさんも慣れたもので、まぁまぁと宥めるとそのまま居座ることにしたらしい。そんなぼーさんに大きく息を吐いたナルは用意した紅茶を持って再び自室へと戻っていった。
「相変わらずだなアイツ。」
「相変わらずだよ。でも、まぁナルらしくていいとは思う。」
ジーンの遺体が発見され、ナルはもう日本には帰ってこないと思ったが、意外にも彼の顔を早く見ることとなったのは数ヶ月前。その時のナルはと言えば、「解雇した覚えはない」と私が当然に事務所を辞めると思っていたのに対して一刀両断してくれたものだ。まぁ100万歩譲ってかなり曲解して!みんなと仕事したかったということにしておく方向で全員の意見は一致しており、我が所長様だけがその事実を知らないのだ、心の中で笑っておくことにする。